FX(外国為替保証金取引)とは

目次

海外旅行をイメージするとカンタン

たとえば、アメリカへ海外旅行に行くときのことを考えてみましょう。
出発時に、日本で「1ドル=100円」で円を米ドルに交換したとします。
帰国して、米ドルを日本円に戻すときに、レート(通貨を交換する価格)が「1ドル=105円」になっていたなら、日本円で5円(105円-100円)おトクになります。
1,000ドルを交換したなら、5,000円(5円×1,000ドル)おトクになりますね。
※スプレッドは計算に含めておりません。

どうやって取引するの?

実際に取引をするときは、現在のレートをチェックして、その後の動きが「上がる」「下がる」かを予想して取引をします。

レートが上がる(円安になる)と思ったら

①予想通り上がったら

②予想とは反対に、下がってしまったら

レートが下がる(円高になる)と思ったら

①予想通り下がったら

②予想とは反対に、上がってしまったら

通貨ペアとは?

通貨ペアとは、2国の通貨の組合せのことで、例えば「ドル/円」とは米ドルと日本円の組合せという意味になります。
組合せにも意味があり、左側の通貨のことを取引通貨、右側の通貨のことを決済通貨といい、ドル/円が110円ということは、1ドルが110円ですという意味になるのです。

ロット(Lot)とは

ロット(=Lot)とは「売買単位」のことです。
1単位ではなく「まとめたあるモノ」を売買するときの単位のことを「ロット」といいます。
では、FXでいう「ロット」とはどのような意味なんでしょうか。
それは、FXでいう1ロットとは「1万通貨」のことを意味します。

万通貨単位とはどういう意味?

1万通貨とは、ドル円の取引の場合は「1万ドル単位」という意味になります。また、ユーロ円の場合は「2万ユーロ単位」という意味です。

決して、「1万円分のドル」や「1万円分のユーロ」ではありませんので、注意してください。

証拠金取引とは?

証拠金取引とは、本来必要となる金額を必要としないで、決まった保証金(=証拠金)を預けることで、預けた証拠金より大きな金額の取引ができる仕組みのことをいいます。

例えばFXの場合は、証拠金率が4%(=レバレッジ25倍)ですので、4万円の資金があれば100万円分までの取引が可能ということになります。

考え方を変えれば、100万円分の取引は4万円の資金があれば取引が可能という意味にもなるのです。

そういうことから、FXとは外国為替取引を証拠金の仕組みを使って行う取引(外国為替証拠金取引)ということがいえます。

手持ち資金以上の取引ができる

FXは、お客さまの資金を担保に為替取引を行います(この担保金を「証拠金」といいます)。
その際に「レバレッジ」という仕組みを使います。これは、軽い力で重い物を動かせる「てこの原理」のように、少ない資金で大きな金額に相当するお取引ができるというもの。
これにより、お手持ちの資金以上のお取引が可能となります。

FXのロットの意味は通貨ペアの種類によって違う

これまで、1ロットとは1万通貨単位であるとしましたが、一部例外があります。

ドル円やユーロ円、ポンド円等のメジャーな通貨での取引は1ロット=1万通貨であるのですが、南アフリカランドや香港ドルといった通貨は価格自体が小さいために「1ロットは10万通貨単位」となっている会社がほとんどです。

このように、南アフリカランド/円の場合は他の通貨ペアとは違って、10万通貨単位となっています。

理由としては「価格自体が小さいから」なのですが、因みに2017年11月1日現在の南アフリカランド/円の為替レートは8.05円位というように、例えばドル/円の113.85円と比較してもかなり小さい値段ということが分かります。

1ロットの取引の証拠金はどれ位必要なのか?

1ロットが1万通貨の取引ということは、実際の取引証拠金はどれ位になるのでしょうか。
例えば、ドル円の価格が100.00円である場合、1ロット(=1万通貨=1万ドル)の取引に必要な証拠金は、
100.00円×1万ドル÷25(レバレッジ)=4万円
ということになります。
これが、1ドル=110.00円の場合は、
110.00円×1万ドル÷25(レバレッジ)=4.4万円
になります。
このように、同じ1万通貨の取引でも、取引時の為替レートによって必要な証拠金の金額は変わります。
なお、1ドル=110.00円の場合でも10ロット(=10万通貨)になると、
100.00円×10万ドル÷25(レバレッジ)=40万円
になります。

レバレッジとは

レバレッジについて調べてみると、よく「てこの原理」という意味で説明されています。
レバレッジとは「投資資金に対して〇〇倍の取引ができますよ」という意味で、仮にレバレッジが10倍の場合に投資資金が10万円ならば、「10万円の10倍である100万円分の取引が10万円でできますよ」という意味になります。

逆にいえば、100万円分の取引ならば、「100万円の10分の1(レバレッジ10倍なので)である10万円で100万円分の取引ができますよ」という意味になります。

まずは差金決済取引を知ろう

例えば、100円のモノを買うときは100円を支払ってモノを受取るのが通常の取引です。
買ったり売ったりする取引時に、お金を払うことはしないで、買値と売値の差額分だけを支払ったり、受取ったりする方法です。
買ったり売ったりする取引時に、お金を払うことはしないので、少ない投資資金で取引が可能です。
例えば、1ドル=100円のときに1ドルを買ったとします。この場合、本来であれば1ドルを払う必要がありますが、実際には100円を渡すことはありません。
その後、買ったドルが120円まで値上がりしたときに売り決済すると、120円を受取ることになりますが、実際に120円は受け取らずに、120円と100円の差額である20円だけを受取ることになるのです。この、差額分だけを受取ったり、支払ったりする取引のことを差金決済というのです。

この仕組みがあるおかげでFXは少ない投資資金で取引ができる。

レバレッジを使うことによるメリットとデメリットは何か?

レバレッジのメリット

レバレッジのメリットといえばこれしかありません。それは「資金効率の良さ」です。
仮に100万円分の取引をする場合、外貨預金なら100万円が必要になります。株式も同じく100万円が必要ですし、信用取引でも30%となります。
これがFXなら4%(レバレッジ25倍の場合)の資金で取引ができるのですから凄いことです。あとは、リスク管理さえしっかりすればこれほど資金効率がいい商品はなかなかありません。

レバレッジのデメリット

レバレッジのメリットは資金効率の良さでしたが、ではデメリットは何になるのでしょうか。
それは「ありません」です。
えっ!そんなことないはず、だって投資資金からするとレバレッジが効いて大きな損失になるし、場合によってはロスカットにだってなるじゃない!
と、思っているあなた。
実はそれ、間違いというか、勘違いなんです。その勘違いをこれから説明します。
まず「レバレッジが効いているから損失は大きくなる」ですが、一般的な説明では、例えば、1ドル=100円の時に1万ドルの取引をする場合、100万円分の取引をすることになります。
この場合、外貨預金ならまるまる100万円の投資資金が必要になりますが、FXなら4%分の4万円で同じ100万円分の取引ができますね。
次に、1ドル=100円だったのが、その後1ドル=99円に値下がった場合、外貨預金もFXもともに1万円の損失になります。
このときに、外貨預金は投資資金100万円に対して1万円の損失なので、損失率は1%であるが、FXの場合は投資資金4万円に対して1万円の損失なので、損失率は25%になるのでそれがデメリットである、という理屈です。
でもこれ、何だかおかしいと思いませんか。
本来、100万円分の取引をしているわけですから、1円の値下がりで1万円の損失になるのは外貨預金もFXも同じなわけです。
それを、FXのメリットであるレバレッジが効いた投資資金に対して損失率が高くなるからそれはデメリットになる、というのは無理があります。
ということで、レバレッジが効いているから損失は大きくなるは勘違いです。
次に、ロスカットになるからそれはデメリットだ、についてですが、これはそもそもロスカットはデメリットはないので理由にはならないです。

レバレッジによって借金することはあるのか?

レバレッジを効かせて取引していると、相場状況によってはロスカットでは補え切れずに不足金(借金)が発生することはあるのでしょうか。
答えは「あります」です。
では、そのようなときに発生するのか例を見てみましょう。
例えば、1ドル=100円の時に1万ドルの買い取引をしたとします。このときの必要証拠金は4万円(=100円×1万ドル×4%)ですが、投資資金としては10万円を用意してFX口座に入金しました。
この場合のロスカットラインは、余剰金6万円(=投資資金10万円-証拠金4万円)がなくなる1ドル=94.00円とします。
※この場合のロスカットは便宜上100%ルールを採用しています。
その後、相場は思っていたのと反対に円高で値下がっていき、ある金曜日の終値がロスカットライン手前の94.20円であったとします。
そして、週末の土日にドル円相場に大きな影響を与えるニュースが突然発生。そのまま翌月曜日の朝、為替相場がスタートしましたが、ドル円のレートは大幅下落の始値が88.00円でスタートしたとします。
この場合、ロスカットは始値の88.00円になりますので、計算すると、
(売値88.00円-買値100.00円)×1万ドル=-12万円
投資資金10万円-12万円=-2万円
ということで、2万円が不足金(借金)となってしまうのです。
この不足金はそのマイナス分をFX業者に入金しなければならない

まとめ

レバレッジとは、投資資金と想定元本との倍率のことである
レバレッジ取引ができるのは差金決済の仕組みがあるから
日本のFX会社の証拠金率の4%は内閣府令で決まっている
レバレッジでいわれるデメリットは勘違いの間違いだった
レバレッジ取引は相場状況次第では借金となることもある

スワップポイントとは

スワップポイント(スワップ金利)とは、FX取引を行った際に発生する2国間の金利差のことをいいます。

為替では通貨ペアといって2国間の通貨を取引(交換)しますが、この2国間にはそれぞれ金利があります。この2国間の金利差から、FXでポジションを買い持ちしたり、売り持ちしたりすることで金利差分を受取ったり、支払ったりするのがスワップポイントになります。

スワップポイントの発生の仕組み

ドル円を使ってスワップポイントを確認してみます。

まず、米ドルが100.00円のときに1万ドルを日本円で買う場合、FXでは100万円(=100.00円×1万ドル)を支払って、1万ドルを買うことになります。
この場合、100万円分の日本円は借りている状態となりますので、借りている100万円分の金利は支払わなくてはなりません。

反対に、1万ドルは買っている(持っている)状態ですので、その1万ドル分の金利は受け取れることになります。
すると、2017年7月現在の金利状況は米ドルの政策金利が1.25%、日本の政策金利が0.10%でありますので、円金利0.10%を支払って、米ドル金利1.25%を受取る、すなわち金利差である「1.25%-0.10%=1.15%」分の金利を受け取ることができるのです。

すると、2017年7月現在の金利状況は米ドルの政策金利が1.25%、日本の政策金利が0.10%でありますので、円金利0.10%を支払って、米ドル金利1.25%を受取る、すなわち金利差である「1.25%-0.10%=1.15%」分の金利を受け取ることができるのです。

スワップポイントが発生するタイミングはいつ

FXでポジションを持ったとしても、スワップポイントがいつ発生するのか分からなければ、受けることができなくなる場合があります。しっかりと発生するタイミングを理解しましょう。

スワップポイントが発生するのは、ポジションを繰越したタイミングとなります。ポジションの繰越しとは日付をまたぐことをいいます。

例えば、為替の一日の区切り(終了時刻)はニューヨークの午後5時になります。このニューヨークの午後5時というのは日本時刻でいうと午前7時(夏時間の場合は午前6時)になります。

ということは、FXでポジションを持った状態のまま一日の区切りである日本時刻の午前7時(夏時間の場合は午前6時)を過ぎた段階でスワップポイントは発生します。

日本時刻の午前0時を過ぎると発生する訳ではありません。あくまでも、為替の一日の区切りであるニューヨークの午後5時を過ぎた場合に発生するので、注意してください。

極端な例ですが、日本時刻の午前06時59分にポジションを持って、午前07時01分に決済したとしてもスワップポイントは発生する仕組みとなっています。

発生するポイントは「為替の日付をまたいだ」になり、何時にポジションを持ったかは関係ありませんし、日本時刻の日付でもありませんので注意ください。

スワップポイントは「買いが受取り」「売りが支払い」は間違い
スワップポイントは「買いが受取り」「売りが支払い」と理解している場合が多いです。しかし、それは間違いです。
確かに、低金利の日本よりも高金利の海外の通貨を買えば、スワップポイントは受取りになることがほとんです。しかし、ユーロの0.00%やスイスの-1.25%のような場合は、買いから始めることでスワップポイントは支払いになりますので、注意が必要です。

スプレッドとは

FXでいうスプレッドとは「買値と売値の差額」のことをいいます。

FXは下図のように、為替レートを表示する際にはツーウェイプライスといって買うことができる値段(買値=Askレート)と売ることができる値段(売値=Bidレート)の2つの価格を同時に提示します。

この買値と売値の価格差(=買値-売値)のことをスプレッドといい、FX取引におけるコストになるのです。
上の図でいうと、買値である114.260円と売値である114.257円の差額である「0.003円=0.3pips」がスプレッドです。

スプレッドのもうひとつの意味

実はこのスプレッド、別の意味もあるのです。それは、売値と買値の差は伸縮するという意味です。
どういうことかといいますと、売値と買値の差でいうスプレッドは、一定ではない、ということです。為替レートは様々な要因で高くなったり、安くなったり変動しています。特に、重要な経済指標(特に米国雇用統計)前には全体的な取引自体が減少してしまい、流動性が小さくなることからスプレッドは広がったりすることがあるのです。

スプレッドでも使う「pips(ピプス)」とは

FX取引をしていると「利益が100pips取れた」とか、「損切りは50pips以内に設定する」といった表現を聞いたことがあるかと思います。ではこの「pips(ピプス)」とは何のでしょうか。

1pipsとはなにか

1pips(ピプス)とは、下記表のようにドル円の他、ユーロ円やポンド円といった「クロス円」の場合は「0.01円=1銭=1pips」になり、クロス円以外の、ユーロドルやポンドドルといった通貨ペアは「0.0001ドル=1pips」となります。

pipsの昔の説明

「pips」は一昔前の本には「最小取引単位」という説明がありました。しかし、現在ではそれは間違いです。確かに一昔前までは「最初取引単位」でも正しかったのですが、現在はそうではないからです。
具体的にいうと、下記のように現在と一昔では価格の桁数表示が違っているんです。

以前現在
115.50円115.502円

このように、例えばドル円なら一昔前なら「115.50円」「112.30円」という表記であったのが、日本のFX会社がスプレッドを狭くする”スプレッド競争”をした関係で、どんどんスプレッドが狭くなりとうとう1pips以下にまで縮まった(例、0.3pips等)ことで、1pips以下の表記が行われるようになったのです。

正しい「pips」の意味とは

ここまでpipsのことをいろいろと書いてきました。では正しい意味は何かというと、それは「Percentage in point」ということで、「pips」とは最小の通貨単位の1%(1/100)分のことをいうのです。
例えば、日本円の最小通貨単位は1円ですが、この1円の1%は0.01円=1銭なので、1pipsは0.01円ということになります。
また、米ドルの最小通貨単位はセントですが、この1セントの1%は0.01セント、つまりドルで表現すると、1pips=0.0001ドルということになるのです。

スプレッドで発生するコストの計算方法

スプレッドで発生するコストの方程式

スプレッドを使ってコスト計算する際の計算式は下記になります。
取引コスト(片道分)=(スプレッド÷2)×取引量
※片道分とは、新規建玉時、もしくは決済時の取引分ことになります。
ツーウェイプライスで表示されているスプレッドはコストで考えると往復分(新規建玉と決済=買いと売りのセット)になります。

スプレッドから取引コストを計算する具体例

例1、
ドル円で1万ドルを、新規建玉時と決済時のスプレッドが各1pipsの場合の往復分の手数料(コスト)は、
新規建玉時
(1pips ÷2)×10,000通貨
=(0.01÷2)×10,000=0.005×10,000=50円
決済時
(1pips ÷2)×10,000通貨
=(0.01÷2)×10,000=0.005×10,000=50円
回答
往復で100円(=50円+50円)の手数料相当分がかかっているということになります。
例2、
ドル円で1万ドルを、新規建玉時のスプレッドが1pips、決済時のスプレッドが2pipsの場合の往復分の手数料(コスト)は、
新規建玉時
(1pips ÷2)×10,000通貨
=(0.01÷2)×10,000=0.005×10,000=50円
決済時
(2pips ÷2)×10,000通貨
=(0.02÷2)×10,000=0.01×10,000=100円
回答
往復で150円(=50円+100円)の手数料相当分がかかっているということになります。

例2、
ユーロドルで1万ユーロを、新規建玉時と決済時のスプレッドが各1pipsの場合の往復分の手数料(コスト)は、
※便宜上、1ドル=100円で計算します。
新規建玉時
(1pips ÷2)×10,000通貨
=(0.0001÷2)×10,000×100円(為替レート)
=0.00005×10,000×100円(為替レート)=50円
決済時
(1pips ÷2)×10,000通貨
=(0.0001÷2)×10,000×100円(為替レート)
=0.00005×10,000×100円(為替レート)=50円
回答
往復で100円(=50円+50円)の手数料相当分がかかっているということになります。
例4、
ユーロドルで1万ユーロを、新規建玉時のスプレッドが1pips、決済時のスプレッドが2pips場合の往復分の手数料(コスト)は、
※便宜上、1ドル=100円で計算します。
新規建玉時
(1pips ÷2)×10,000通貨
=(0.0001÷2)×10,000×100円(為替レート)
=0.00005×10,000×100円(為替レート)=50円
決済時
(2pips ÷2)×10,000通貨
=(0.0002÷2)×10,000×100円(為替レート)
=0.0001×10,000×100円(為替レート)=100円
回答
往復で100円(=50円+100円)の手数料相当分がかかっているということになります。

仮に往復のスプレッドが同じの場合はそれが往復分のコストと考えれば計算が早いです。

スプレッドが広がるとはどういうこと

スプレッドというと、何となく固定されているイメージがありますが、実は固定されてはいません。同じドル円でも、スプレッドは0.3になったり0.5になったり、場合によっては1.0になったりします。このようにスプレッドは広がったり縮んだり伸縮しています。

スプレッドはどういう理由で伸縮する

流動性
FXを含む為替取引でいう「流動性」とは、「取引量(=出来高)」のことをいいます。
一般的にモノの価格というのは、たくさん流通されていれば価格は「安く・安定」して提供されるものですが、これが需要に対して供給量が少ないと必然的にモノが不足しているということで、価格は上昇する傾向にあります。
為替も同じで、たくさん売買(取引)されていれば価格は安定するため、スプレッドは狭くなりやすいですが、逆に取引量が減ってしまうと価格は不安定になり、スプレッドは広がりやすい傾向になります。ということで、スプレッドの伸縮理由は流動性ということになります。
経済指標発表前(雇用統計)
次は「どういうときに流動性が低くなるか」ということですが、これも様々な要因があります。ただ、ひとつだけ挙げるとすれば、それは「経済指標の発表前」ということになります。
気を付けてほしいことは、すべての経済指標の前に流動性が低くなるということではなく「重要な経済指標の前になりやすい」ということです。特に、米国雇用統計(基本的に毎月第一金曜日に発表)は注目されていることから、発表前は取引が乏しくなり、流動性が低くなってしまうため、スプレッドは広くなりやすくなります。
その他、震災や天変地異、テロ等によって流動性が低下してスプレッドが広がることもありますので、片隅で覚えておきましょう。

スプレッドの原則固定とはどういうこと

各FX会社のスプレッドを見ると「原則固定」という表記をしている会社もあります。
「原則固定」とは、基本的には一定のスプレッドで固定しているが、経済指標発表前やそれ以外の理由によって、広がることがあるということです。あくまで「原則」であって「完全固定」ではないですので注意してください。

スプレッドは狭ければ勝てるのか

スプレッドの話で忘れてはならないのが「スプレッド競争」です。2000年頃は、ちょうど日本でFXがスタートして間もないときでした。その頃のスプレッドは、ドル円やユーロドルが5pips、ユーロ円で7pips、ポンド円にいたっては8pips位ありました。今では考えられない広がりようです。
それで、その後ネット系のオンラインFX会社が台頭してきて、そこで各社がどんどんスプレッドを狭くすることを競う「スプレッド競争」が始まりました。これにより、これまでドル円で5pipsあったスプレッドが0.3pips位の原則固定まで狭まりました。実に17分の1のレベルです。
また、これだけではなく実は昔はスプレッド以外に別途取引手数料がかかっていました。
会社によって違いはありますが、大体10万通貨あたり8,000円、20万通貨なら16,000円ということです。この取引手数料をスプレッドに換算すると8pipsに相当しますので、往復分のコストで考えると、「5pips+8pips+8pips=21pips」のコストがかかっていました。現在の個人投資家からすれば驚きのコストです。
ということで、会社努力によって狭まっていったスプレッドですが、狭くなってコストが抑えられたおかげで個人トレーダーが勝てるようになったかというとそうではないです。
よく負けトレーダーが9割で、勝ちトレーダーは1割位しかしない、と言われていますが、この比率は今も昔もそれほど変わりません。
スプレッドが広くても勝つ人は勝つし、逆にスプレッドが狭くても負ける人は負ける。結局、スプレッドが狭まってコストが抑えられるようになっても、勝ちトレーダーが増えてはいないんです。確かにコストは抑えられた方がいいですが、でもそれが勝ちの要因になるよいうことではないということが分かります。

FXの残高、有効証拠金、必要証拠金、余剰証拠金、証拠金維持率とは

取引証拠金/残高(Balance)について

FX業者に入金すると取引口座にある残高(Balance)に反映されます。この残高を取引証拠金と呼ぶこともあります。残高は取引の担保として使われますが、実際に取引をするまでは単なる残高になります。実際に取引をすることで一部が担保として使われます。

有効証拠金(Equity)について

実際にポジションをとると為替の変動により、決済していなくても利益が出ていたり、損失が出ていたりします。この利益や損失と取引証拠金と合わせたものが、有効証拠金(Equity)になります。
100,000円入金して、10,000円損失が出ている場合は、有効証拠金は90,000円になります。逆に10,000円利益が出ている場合は、有効証拠金は110,000円になります。

(有効証拠金)=(残高)+(利益)

余剰証拠金(Free margin)について

有効証拠金から取引中のすべての必要証拠金の合計を引いたものが余剰証拠金(Free margin)になります。余剰証拠金は新たにポジションを取る際に必要証拠金が十分にあるか確認するのに用います。

(余剰証拠金)=(有効証拠金)–(必要証拠金総額)

証拠金維持率(Margin level)について

有効証拠金は為替の動きによって変わってきます。一方で必要証拠金というのがあって、その金額を下回ると担保が足りなくなる事態になってしまいます。ではあとどれくらい必要証拠金に対して余裕があるかを示すのが証拠金維持率(Margin level)になります。

(証拠金維持率)=(有効証拠金)÷(必要証拠金総額)×100

証拠金維持率が100%を割ると、入金を要求されます。ポジションはさらに強制ロスカットの証拠金維持率になるまでは保持されますので、まだポジションを取りたいのであれば、即時に入金を行うべきです。
例えばXMの場合は証拠金維持率が20%を下回ると強制ロスカットになります。そこまで行くと無条件で全ポジションがクローズされてしまいます。口座が複数ある場合は、証拠金維持率が下回った口座だけが強制ロスカットされるだけで、ほかの口座に影響はありません。

必要証拠金(Margin)について

実際に取引をしてポジションをとると、実際に担保が必要になるのですが、これを必要証拠金(Margin)と呼びます。計算は簡単でポジションの金額をレバレッジの倍数で割ると出てきます。
1,000,000円のポジションをレバレッジ100倍で取るのであれば、10,000円が必要証拠金ということです。通貨ペアによっては口座の通貨に両替して計算します。

(ポジションの額)=(約定レート)×(通貨数)÷(レバレッジ倍数)

証拠金といっても、それが取引証拠金/残高(Balance)なのか、有効証拠金(Equity)なのか、必要証拠金(Margin)なのか、余剰証拠金(Free margin)なのか、証拠金維持率(Margin level)と色々とあります。

追加入金や強制ロスカットに会わないためにも、証拠金維持率が1000%を下回ってくると有効証拠金に注意する必要があります。

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この記事を書いた人

2020年6月 milk先生のFX勉強会 フィボライントレードに入会
2021年7月 FX勉強会避難所を開設
2022年6月 FX勉強会避難所内に波引き教室を開設

FX勉強会避難所開設の経緯
2021年7月26日に残念ながらmilk先生のFX勉強会 フィボライントレード塾が閉鎖した。
学習環境維持のため開設する。

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